CP価格

11月30日に12月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

12月CP
プロパン $ 495 /MT(前月比+$20)
ブタン  $ 485 /MT(前月比+$25)

アラビアンライト原油の11月1日~30日の平均価格は$66.657/BBLです。
尚、12月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで90.6%、ブタンで90.0%となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 64.89 ⇒ 64.06 WTI: 61.05 ⇒ 60.13

上昇要因:ウクライナのドローン攻撃により、ロシア石油大手ルクオイルのボルゴグラード製油所が稼働停止したとの報道があり、一部ロシア産原油の供給断続が懸念となったこと、など。
下落要因:米エネルギー情報局(EIA)発表の石油在庫統計で原油在庫が市場予想を上回ったことや、サウジアラビアがアジア向け原油価格を引き下げたとの報道があったことで、売り基調となったこと、米国の雇用状況レポートにおいて人員削減数が前月の2.8倍に急増し、期先の雇用に警戒感が広がり株式相場が下落、株式と連動して同様にリスク資産である原油が売られたこと、など。

中旬: BRENT: 64.06 ⇒ 63.38 WTI: 60.13 ⇒ 59.14

上昇要因:米国において上院・下院でつなぎ予算案が可決され政府機関の一部閉鎖解除への期待が高まり、投資家を中心に景気懸念感が後退し原油相場を支えたこと、ウクライナのドローン攻撃で、ロシアの原油輸出の1/5を占める南部ノボロシスク港の石油施設が被害を受け輸出停止となり、一時的に地政学的リスクが高まったこと、など。
下落要因:OPECプラスの月報では需給がバランスしていくような見立であったが、IEAのレポートにおいて2026年は供給過剰になることが強調されたことや、EIAの在庫統計において足元在庫が市場予想を大きく上回っており、需要が追いついていないという見方が強いこと、など

下旬: BRENT: 63.38 ⇒ 63.20 WTI: 59.14 ⇒ 58.55

上昇要因:OPECプラスが先月に合意していた2026年1~3月の増産停止方針を変えない方針であるという報道から今後の原油需給タイト化の可能性も考えられたこと、など。
下落要因:ロシアとウクライナ間の戦争終結への期待感が高まっており、地政学的リスクの低減が見込まれ、また制裁解除によりロシア産エネルギー供給の緩和の可能性もあること、EIAの在庫統計において原油とガソリンが再び市場予想を上回る積み増しを記録し、現物需給の緩みが引続き意識されたこと、など。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $481 ⇒ $466

2か月前のようなマーケット感から乖離したサプライズ的なCPの発表は無く、冬季の需要増に伴う購買意欲は強まらず、原油価格の緩やかな下落に伴ってCP価格も下落傾向。
インドと中国の堅調な冬季需要が聞かれ価格が反発するタイミングを牽制していたような相場観。中東サプライヤーのメンテナンスによる輸出減の可能性も少しづつ浮上。

中旬: CP先物 $466 ⇒ $484

インドからの購入需要が徐々に聞かれ始め、また日韓勢からの底堅い冬季需要も聞こえてきており、加えて定修明けの中国PDH勢からの買い唱えも見られたことで、市況が強含んだ。
加えて、サウジアラビアでは国内PDH稼働によってプロパンがタイトであるとされ、クウェートでは製油所の火災による出荷への影響懸念及び足元で一部積数量制限、といった情報があり市況が反応。

下旬: CP先物 $484 ⇒ $495

サウジアラムコが12月積みプロパンの数量に一部制限を設けていること、クウェートやカタールからも26年Q1以降のタイト感示唆あり、中東産カーゴのタイト化はほぼ確実な状況であり相場が強含んだ。
極東着カーゴのマーケットでは日韓元売り勢を中心とした民生向け冬季需要に支えられ価格は堅調に推移、伴ってCP先物価格も上昇。最終的にはマーケットの期待値よりも多少低い値の値付となった。

12月CPについて

・11月30日(日)に発表された12月CPは、プロパン$495/トン(前月対比+$20)、ブタン$485/トン(前月対比+$25)。
・11月の序盤は、前月に引続き供給過剰感があり翌月CP先物は続落傾向。しかしながら中東カーゴのタイト感、及び季節需要による需給の引き締まりが徐々に明らかになっていくにつれ、月末にかけてCP先物価格は上昇していき、一時$500/トンまで強含みを見せ、最終的にはマーケットよりも若干低い値($495/トン)の発表となった。
・中東情勢はガザ停戦後落ち着きを見せており、またウクライナ-ロシアをめぐる原油価格の上下動はあったものの、影響はそこまで大きいものではなかった。また、米国産LPGの中国への輸入にかかる関税は25年11月中旬まで10%、その先の見通しが不透明であったが、11月5日にこの10%の措置が26年11月まで延長される旨発表があった。基本的には短期的な方針の変換は起こりにくいものと見られ、先物価格への影響はそこまで大きいものとはならなかった。
・中旬以降、中東サプライヤー各社が翌月や翌々月以降の積荷役スケジュールを調整する中で、サウジアラビアやクウェートにおいては積数量の制約や一部延期・キャンセルの打診があったようであり、期先のタイト感が確実視されている状況。アジア圏の需要は季節要因も相まって上向きとなり、CP先物価格、成約レベルの水準は徐々に強まっていった。
・今年の夏場には$30/トンの開きがあったプロパンとブタンの価格差は今月さらに縮小され$10/トンとなった。PDH用途や季節的な家庭用需要によるプロパンのタイト感もある状況の中、ブタンは引続き極東を中心にナフサ対比安価な原料として一定の引合いがあり、極東向け価格はブタン>プロパンの傾向が強まっていることも相まって、さらに差が縮んだ。

今後のマーケットの見通し

・11月CPに続いて12月CPも例年対比安価な値付けとなった。中東カーゴのタイト感は季節要因による需要増大、メンテナンスに起因する供給量減少も相まって26年Q1にかけて継続されるものと見られる。日本を含む東アジアは平年並みの寒さが予想されており、顕著な需要減少の見通しは現状立てられていない。
・2025年は4月の米中関税開始、夏場の中東情勢など、政治的理由によるマーケットの大きな変動がよく見られたが、10月のガザ停戦及びウクライナ-ロシア間の戦争終結も歩みを進めているという見方から、現在はマーケットを乱高下させる大きな変動要因とはなっていないものと考えられる。
・米中関税が2026年11月まで現行措置継続となったこと、また2026年が近づいてきたことで、中国をはじめとしたアジアの需要家からの26年調達に関する入札が、順次発表されている。しかしながら需要家によって方針はまちまちであり、総数では例年より確定数が少ない状況。四半期や月ごとのSPOT的な入札が継続して発表されるものと見られる。
・各中東サプライヤーの2026年ターム調達交渉は概ね終了を迎えたが、大きく売り余しているような情報は現状聞こえてこない。SPOTでの販売が増えるのではないかと見られていたが、Q1は既にタイト感があることから追加カーゴの販売は考えられにくく、Q2以降の動きに注目となるか。
・中東はタイトではあるものの、米国の生産量増加があり全体で見るとLPG需給バランスはそこまでタイトなようには見受けられない。しかしながら、ナフサ対比LPG価格優位な状況はしばらく続くという前提のもと石化需要が高いレベルで推移すること、米国カーゴの供給について霧影響やパナマ運河混雑などによって局所的な需給逼迫が発生することが懸念される。