CP価格

10月30日に11月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

11月CP
プロパン $ 475 /MT(前月比-$20)
ブタン  $ 460 /MT(前月比-$15)

アラビアンライト原油の10月1日~31日の平均価格は$67.229/BBLです。
尚、11月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで86.2%、ブタンで84.6%となっております。

過去のCP推移はこちらをクリックしてください。

CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 65.35 ⇒ 62.73 WTI: 61.78 ⇒ 58.90

上昇要因:OPECプラス有志8カ国が11月の原油生産量を10月と同様に日量13万7000バレル増とする方針を決め、これが一部市場関係者の想定より小幅であったこと、米国がウクライナにロシアのエネルギーインフラを攻撃するための情報を提供すると報道があり、ロシア産エネルギー供給の懸念が一時的に強まったこと、など。
下落要因:OPECプラスの11月増産(日量13万7000バレル増)をマーケットの一部は増産拡大方針の継続と捉え、需給バランスの更なる緩和が懸念されたこと、ガザでの戦闘を巡り、イスラエルとハマスが米政府の和平案第1段階を合意、実現すれば中東和平交渉において大きな進展と受け止められ、地政学リスクが後退すると見られたこと、など。

中旬: BRENT: 62.73 ⇒ 61.01 WTI: 58.90 ⇒ 57.52

上昇要因:トランプ米大統領がウクライナ/ロシアのそれぞれに対して交流をする中、両国の対立に関しての不透明感が継続、小幅ではあるが若干の買いがあったこと、など。
下落要因:IEAやOPECの月報が発表され、世界的な供給過剰懸念が継続する可能性が高いと見られたこと、米国の中国船運航事業者を対象とした米国寄港時の手数料徴収に対する報復として、中国が米国船を対象とした特別港務料金の導入を表明し需要に支障を来す可能性が高まったこと、など

下旬: BRENT: 61.01 ⇒ 65.07 WTI: 57.52 ⇒ 60.98

上昇要因:米国のロシア石油大手への制裁発表、中国石油大手の海上輸送によるロシア産原油調達停止、インド石油精製社のロシア産原油輸入の大幅削減方針などによる供給不安感、EIAが公表の米エネルギー在庫週報において米原油在庫が減少、また備蓄用原油の購入計画を明らかにしたことで需給の引き締まりを警戒した買いが入ったこと、など。
下落要因:米国と中国の貿易摩擦による世界経済の鈍化が実現した場合、世界経済が鈍化すると見られ、供給過剰の懸念がさらに高まる恐れがあると警戒されたこと、など。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $464 ⇒ $461

前月末のマーケット感から乖離したCPの発表に伴い市場は混乱。CPは一時的に暴落しそこから揺り戻され、その後は原油に連動するように緩やかに下落するかたちとなった。
中国の長期休暇(国慶節)によりマーケットの流動性は低く、またアジア圏の需要も低迷していたことから、商談・成約情報も少なかった。

中旬: CP先物 $461 ⇒ $441

中国を含む各国の元売、需要家が2026年の調達方針を固めていく時期に差し掛かる中、米中相互関税の動きが不透明であり、期先までマーケットが読みにくい環境の中、
CP先物価格は原油と同様に低迷。また、サウジアラムコの翌月積日アナウンスが遅れたことで一時的に供給懸念が浮上したが、結果的に特段の問題無く発表された模様。

下旬: CP先物 $441 ⇒ $475

原油価格の上昇に伴いCP価格も上昇。PDHマージンの回復やナフサ代替のLPG需要も聞かれ、これら要因を受けての価格上昇も含まれた模様。
米中首脳会談前後の動きや11CPの値付への警戒感により、マーケットの動きは鈍化。11月CPは結果的にはマーケット予測からやや高い値付けとなった。

11月CPについて

・10月30日(木)に発表された11月CPは、プロパン$475/トン(前月対比-$20)、ブタン$460/トン(前月対比-$15)。
・10月CPの根付けに動揺したマーケットは、中国の長期休暇と重なったこともあり牽制し合う状態が続いた。例年、季節要因による需要増に伴い調達価格も上昇していくが、今年は世界的に供給過剰感があり、11月においても前月比マイナスとなった。原油の値動きに伴い11月CP先物は一時$440/トンまで下落したが月末に向け回復していった。
・米国がイラン制裁に関連して中国の主要石油ターミナルを制裁対象に加えたことから、イラン産LPGの中国向け流入が抑制。また同国の新設エチレンクラッカー補助原料として近隣製油所からの精製品LPGが使用されていることで輸入量は堅調に推移、需要は下支えされている状況。加えて、足元ではナフサ・LPGの両方を分解できるクラッカーが主に経済性の観点からLPGを原料として選択する傾向が続いており、こちらもLPG需要を下支えする要因となっている。
・今年の夏場には$30/トンの開きがあったプロパンとブタンの価格差は今月さらに縮小され$15/トンとなった。こちらの背景には、米国内でガソリンブレンド用ブタン需要が増加し輸出量が減少していること、サウジアラムコが11月積みカーゴに関してブタンからプロパンへの品転をタームリフターに打診したと報じられたこと、等があるものと見られる。

今後のマーケットの見通し

・10月CPに続いて11月CPも、例年対比安価な値付けとなったが、11CPプロパンに関しては10月末の先物での取引価格より約$10程高く発表され、季節的な購買欲の高まりと今後の米中関税率が定まったことによる中国勢からの需要増見込みを加味した評価と考えられる。
米国産LPGの中国への輸入にかかる関税は25年11月中旬まで10%、その先がどうなるかは不透明であったが、11月5日にこの10%の措置が26年11月まで延長される旨の発表があり、1年弱ではあるものの、マーケット関係者は期先の見通しが立てやすい環境となった。
・9月の間は様子見の姿勢をとっていた中国をはじめとしたアジアの需要家からの26年調達に関する入札が、10月に入り複数発表された。米中関税の見通しがある程度判明したため、年間すべての調達計画確定は引続きリスキーではあるものの、四半期毎などでの入札などが今後も頻繁に表れるのではないかと考えられる。
・各中東サプライヤーからの2026年ターム調達交渉は、例年通りならば11月を目途に完了する見通し。しかしながら、上述の通り需要側の見通しがやや不透明なこともあり、例年以上に販売のコミットメントを得られていない可能性があり、SPOTでの販売や、需要家からの追加調達の協議などが引続き行われるのではないかと見られている。
・例年、冬場にかけて季節的要因による需要増に伴った需給の引締まりが警戒されるが、足元は原油含め供給過剰の方が懸念される環境であることから、やや下落圧力がかかる雰囲気。しかしながら、ナフサ対比LPG価格の優位性による石化需要増や、米国の霧影響、パナマ運河混雑などによる一時的な需給引締まりは十分に考えられる。