CP価格

8月31日に9月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

9月CP
プロパン $ 550 /MT(前月比+$80 )
ブタン  $ 560 /MT(前月比+$100 )

アラビアンライト原油の8月1日~31日の平均価格は$89.7162/BBLです。
尚、9月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで74.8%、ブタンで77.2% となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移


上旬: BRENT: $84.91 ⇒ $86.40 WTI: $81.37 ⇒ $82.82

上昇要因:①サウジは日量100万バレル、ロシアも日量30万バレルの自主減産を9月も継続する方針を明らかにしたこと②インド・米国の経済が堅調であることを受けて、石油需要予測が日量55万バレル上方修正されたこと③米エネルギー情報局(EIA)が月報で米国成長率予想を引き上げ、23年後半と24年の原油価格見通しを上方修正したことなど。
下落要因:①欧米などの積極的な金融引き締めの影響で、景気やエネルギー需要が冷え込む懸念が再燃したこと②中国の7月貿易統計発表を受け、同国の需要減退懸念が再燃したことなど。

中旬: BRENT: $86.40 ⇒ $84.03 WTI: $82.82 ⇒ $80.35

上昇要因:①サウジの自主減産などを背景とする需給逼迫懸念の強まり②EIA週報(8/16発表)で米原油在庫が市場予想の-210万バレルに対し、-600万バレルの取り崩しとなり、同国からの供給が引き締まること③中国が景気後退に対抗する追加の景気刺激策を示唆したことにより、原油需要が増えるとの期待が膨らんだこと④米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した8月18日までの1週間の米国内の掘削リグ稼働数が減少したことなど。
下落要因:①中国の景気後退懸念が再燃し(新規銀行融資の低迷、各種経済指標の悪化)、需要減退観測が広がったこと②米連邦公開市場委員会の参加者達が今後のインフレ率には大きな上振れリスクがあると見ており、追加の利上げによる需要減退懸念が広がったことなど。

下旬: BRENT: $84.03 ⇒ $86.86 WTI: $80.35 ⇒ $83.63

上昇要因:①サウジの自主減産などを背景とする需給逼迫懸念の強まり②EIA週報(8/30発表)で米原油在庫が市場予想の-330万バレルに対して、-1,060万バレルの取り崩しとなり、同国からの供給が引き締まること③米国南部への大型ハリケーン「イダリア」上陸に伴う石油ガス施設への影響から供給懸念が広がったことなど。
下落要因:①中国の不動産危機が深刻化(恒大集団の破産法申請/碧桂園の大幅赤字等)し、同国の石油需要への懸念が高まったこと②25日に開催された国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」にて米連邦準備理事会のパウエル議長が追加の利上げについて言及。米国経済の後退懸念が再燃したこと③23日発表の経済指数(製造業購買担当者景気指数)が欧米の景気悪化を示し、世界的に原油需要が伸び悩むとの観測が広がったことなど。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $493 ⇒ $530

原油相場の上昇に引き摺られて上昇した。加えて、①原油減産の影響から8月の中東からのスポット販売余地が減少したこと、②トレーダー勢の堅調な買い気
③サウジ国内の石化需要が増加し、輸出が絞られるとの報が市場を後押しした。

中旬: CP先物 $530 ⇒ $532

原油相場の上昇に引き摺られて上昇した。一方で、上旬まではトレーダー勢の堅調な買い気が相場を押し上げていたが、中旬に入り、徐々に需要が満たされたことから需給が軟化し、上値を抑えた。

下旬: CP先物 $532 ⇒ $560

原油相場の上昇に引き摺られて上昇した。トレーダー勢の買い気の再燃により、上昇。特に市場ではブタン付きFOBに対するスポット需要が複数件聞かれ、ブタン需要の増加と中東ブタン在庫の低下を背景に、プロパンとブタンとの価格差はほぼフラットとなった。

 

9月CPについて

8月31日(木)に発表された9月CPは、プロパン$550/トン(前月対比+80)、ブタン$560/トン(前月対比+100)となった。
9CPは足元の原油相場の上昇に釣られて上昇した。又、原油減産に伴う中東からのスポット販売余地の減少及びトレーダー勢からの堅調な需要が支援材料となり、相場を押し上げた。ブタンは、欧州のガソリンブレンド用需要や東南アジアの民生用需要の増加に伴い、需給が引き締まった。中東でもブタン付き玉へのスポット需要も複数件聞かれ、プロパン対比で上昇幅が大きく、ブタン高の発表となった。

今後のマーケットの見通し

8月の原油相場は、サウジが9月単月での日量100万バレルの自主的な追加減産の延長を表明したことに加え、ロシアも9月の輸出量を日量30万バレルの減産を表明したことにより、供給面のひっ迫懸念が価格上昇の要因となった。又、米国の原油在庫が大幅に取り崩されたことや、OPEC+の追加減産の可能性が浮上したことが支援材料となり、価格上昇を後押しした。一方、米欧主要中銀の政策金利引き上げを背景とする景気後退懸念に加え、中国の不動産危機が深刻化(中国恒大集団の破産法申請/碧桂園の大幅赤字等)し、同国の成長鈍化と石油需要減退への懸念が高まったことにより上値が抑えられた。今後は、サウジ/ロシアの自主的な減産の更なる延長、OPEC+による追加減産、欧米の金利政策/中国の景気刺激策を背景とした景気動向、ウクライナ情勢の不安定化による供給への影響などを注視したい。
LPG相場は、原油相場次第ではあるものの、夏場の不需要期にも関わらず、価格の上昇が続いており、冬の需要期に向けて、期先高(コンタンゴ)の環境が想定される。供給面では、サウジの自主減産継続の影響により市場へのスポット玉の供給が減少する一方で、米国のプロパン在庫は過去最高を記録しており、米国-極東間の輸出は増加することが見込まれる。需要面では、23年後半にかけて中国のPDHプラント8基の立ち上がりを控えており、堅調なPDH向け需要が拡大するものと見込まれているが、プロパン価格高騰と中国ポリプロピレン市場の低迷により、足元のPDH採算割れによる稼働率の低下、一部プラントの停止、新規PDHプラントの稼働時期の24年への後ろ倒しが懸念されており、需要に大きな影響を与える可能性が高い。今後は、中国PDH勢の需要や石化向け需要の動向、9月以降のサウジ追加減産の有無、干ばつの影響によるパナマ運河混雑、フレート市況動向等を注視したい。 10月CPは9月28日(木)頃発表予定。