安全データシート(SDS)制度概要

作成日 2013.01.01
安全データシート(Safety Data Sheet)とは、危険有害な化学物質等について、譲渡提供者の有する危険有害性等の情報を、それを取り扱う事業場の労働災害防止に活用するシステムとして、化学物質の安全性に係る情報提供制度が創設され、当該制度に基き危険有害な化学物質等を取り扱う事業所に交付する化学物質の情報を記載したシートのことであり、LPガスも危険有害な化学物質等に該当することより、LPガス業界においてもSDSの交付を実施する必要があります。

SDSの前身である「製品安全データシート(MSDS)」は当初、1992~3年に通産省・厚生省・労働省の3省合意にて労働省告示「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針」、厚生省・通産省告示「化学物質の安全性に係る情報提供に関する指針」が公布され、LPガス業界としては当該指針に基く(社)日本化学工業協会の指針を基に日本LPガス団体協議会(日団協)自主基準として「日団協技術基準F-001 製品安全データシート(MSDS)」を作成・制定し、改訂の都度LPガス取扱い事業所への交付を実施してきました。

今般、2012年3月「JIS Z 7253 GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」 が制定されたことに伴い、「安全データシート(SDS)」が従来のMSDSに替わって規定されました。更に化学物質のリスクアセスメントの普及・定着のため、労働安全衛生規則が改正され、2012年4月より危険・有害とされる全ての化学物質についてラベル表示及びSDSの交付が努力義務となったことを受け、「日団協技術基準S労-001-2008 製品安全データシート(MSDS)作成・使用要領」の見直しが実施され、2012年7月「S労-001-2012 GHSに基づく液化石油ガスの危険有害性情報の伝達方法-安全データシート(SDS)作成・使用要領」として改訂されました。以下当該内容に基づき「SDS制度」について概略を記載しました。

*GHSとは
The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals の略で、世界的に統一されたルールに従って化学品の危険有害性に関する分類と表示を行うシステム。2003年7月に国連から勧告として提示された。

なお、弊社におきましては、今回新たに作成した「SDS」を各特約店様及び直売工業用消費者様等に交付しておりますが、再交付をご希望の方は、こちらをクリックし、ファイルダウンロードの上、ご活用下さい。

安全データシート(SDS)制度概要

JIS等では「化学物質等安全データシート」と呼称していますが、LPガス業界では表現を軟らかくするため、「安全データシート」としております。

本資料は、「日団協技術基準S労-001-2012 GHSに基づく液化石油ガスの危険有害性情報の伝達方法-安全データシート(SDS)作成・使用要領」に基く内容を記載してあります。

SDS交付の目的

SDSは、製品の供給者が当該製品の物質名・有害性及び安全のための予防措置等の情報を受領者(後述する交付対象者)に通知するため、労働安全衛生法により交付を義務付けられたデータシートです。受領者は当該SDSを基に労働現場において健康障害防止のための措置を適切に講じていく必要があります。液化石油ガスを労働者に取り扱わせるときは、SDS等を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により労働者に周知するものとします。(作業場内の表示)

LPガスにおいては、労働安全衛生法施行令で規定する「名称等を通知すべき有害物」の中に、「ブタン」が1wt%を超えて含有されており、また、一部製品については「ペンタン」が1wt%を超えて含有、「1,3-ブタジエン」が0.1wt%を超えて含有する可能性があることから、SDS交付対象となります。

SDS交付の流れ

(1)SDS作成者

「SDS」は、輸入会社又は国内製造会社(供給者)が作成するものとされています。

「SDS」は、LPガス取扱事業者にLPガスを供給する事業者が交付するものであることから、本来は交付を実施する各供給事業者が作成することとなります。

しかしながら、LPガスの輸入会社又は国内製造会社から出荷された製品は、品質の大きな変更はなしに最終取扱事業者に供給されることより、輸入会社又は国内製造会社が作成し、流通段階の事業者(卸売及び小売事業者等)は、供給を受けている輸入会社又は国内製造会社が作成した「SDS」を使用(コピー)して交付可としています。

ただし、流通段階の事業者にてLPガスの成分・含有量等の変更を実施した場合は、当該事業者にて新たに「SDS」を作成する必要があります。

(2)SDS交付対象者

「SDS」は、下記の事業者に供給者が交付することとなります。

  1. 高圧ガス保安法適用LPガス製造、販売又は消費事業者(工業・農業用等消費者)
  2. 液化石油ガス法LPガス適用販売事業者
  3. ガス事業法適用事業者
  4. 高圧ガス保安法第3条(適用除外)に該当するLPガス取扱又は消費事業者
  5. 液化石油ガス法適用LPガス業務用消費者
    従業者が勤務する業務用消費者は、交付を必要とする。但し、従業者のいない個人業務用消費者は、一般消費者と見なして交付の義務はないが、出来るだけ交付することが望ましい。
  6. LPガスを燃料とする自動車を使用する運送会社(タクシー会社等)

(注)労働安全衛生法31条の2に基づく「化学設備の清掃等の作業の注文者による文章等の交付」を行う場合において、当該交付文書の一つとして本SDSを使用するときは、法定該当作業を実施する請負人に交付とする。

(3)SDS交付不要対象者

下記の供給先等事業者及び消費者は、「SDS」交付対象から除外となります。

  1. 輸入会社又は国内製造会社間での取引における互いの各事業者(会社)
  2. LPガスを燃料とする自動車を使用する個人運送会社及び個人消費者
  3. 液化石油ガス法適用一般消費者
  4. LPガス輸送業者等物流関係事業者
    ※LPガスの「譲渡」又は「提供先」に該当しないため、対象外とします。

(注)但し、1~4に該当する場合であっても、供給先等から交付の要望があれば交付する。

(4)SDS交付後の記録

「SDS」を交付した場合は、下記の事項を記録しておく必要があります。

  1. 交付年月日
  2. 交付先名称・住所
  3. 交付者氏名

SDSの記載項目と注意事項

「SDS」の記載項目は、「JIS Z 7253 GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」(2012年7月31日 改正)にて規定されており、「下記の1~16項目となります。

  1. 化学品及び会社情報
  2. 危険有害性の要約(GHS分類)
  3. 組成及び成分情報
    液化石油ガスは、高圧ガス保安法上では「炭素数3又は4の炭化水素を主成分とするもの」とされ、液化石油ガス法上では「プロパン、ブタン、プロピレンを主成分とするもの」とされていますが、労働安全衛生法では成分(含有量)を質量%にて明示(含有量を範囲で明示の場合は、10質量(wt)%以内の範囲で記載)とされています。
    しかしながら、現状のLPガスでは各種使用用途によりプロパンとブタンの組成が異なることより、全ての品種毎にSDSを作成することは不合理であるため、日団協自主基準では「プロパン及びブタンを主成分にするもの。含有量は0~100%の範囲を10%区分にて10種類作成する。」としたことより、各種使用実態先に合わせて10種類の中から適合する含有量を記載したSDSを交付することとなります。
  4. 応急措置
  5. 火災時の措置
  6. 漏出時の措置
  7. 取扱い及び保管上の注意
  8. ばく露防止及び保護措置置
  9. 物理的及び化学的性質
  10. 安定性及び反応性
  11. 有害性情報
  12. 環境影響情報
  13. 廃棄上の注意
  14. 輸送上の注意
  15. 適用法令
    LPガスの取扱いにおいては、各用途別にて各種法令が適用されますが、ここでは主たる適用法令を記載しました。
    従いまして、用途においては記載法令が適用されない場合又は記載以外の法令も適用される場合があります。
  16. その他の情報

SDSの記載項目と注意事項

  • 「SDS」に係る法規は、下記の通りです。
    労働安全衛生法 第57条の2(文書の交付)
  • 労働安全衛生法施行令 第18条の2(名称等を通知すべき有害物)
    別表第9
    第482号 ブタン
    第476号 1,3ブタジエン
    第543号 ペンタン
  • 労働安全衛生規則
    第34条の2(文書の交付)
    第34条の2の2(名称等を通知すべき有害物)
    第34条の2の3~2の6(名称等の通知)
  • 労働省告示第133号(平成24年3月16日)
    「化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針」