CP価格

8月31日に9月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

9月CP
プロパン $ 520 /MT(前月比±$0)
ブタン  $ 490 /MT(前月比±$0)

アラビアンライト原油の8月1日~31日の平均価格は$71.556/BBLです。
尚、9月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで88.6% 、ブタンで84.7%となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 69.70 ⇒ 66.63 WTI: 67.33 ⇒ 63.96

上昇要因:米エネルギー情報局(EIA)において、原油在庫・ガソリン在庫がいずれも市場予想を上回る在庫取崩しを記録し、需給引締まりが観測されたことなど。
下落要因:OPECプラス有志国が9月の原油生産量を54万7000バレル/日増産とすることを決め、また9月の次回会合で追加の減産縮小の可能性が意識されたこと、米ロ首脳会談の実現により米国の対ロシア制裁が解除され、ロシア産原油が市場に流入し需給緩和につながるシナリオが考えられたこと、など。

中旬: BRENT: 66.63 ⇒ 66.84 WTI: 63.96 ⇒ 63.21

上昇要因:ロシアのラブロフ外相はプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談実現は早期には難しい見方を表明。米国の対ロ制裁緩和は遠いという警戒感が浮上したこと、EIAの発表で原油及びガソリンの在庫が市場予想を大きく上回る取崩しとなり、堅調な需要があると見て買いが優勢となったこと、など。
下落要因:米ロ首脳会談を前に、プーチン氏がウクライナ戦争の終結に向けた合意に応じる準備ができているとの見方を示しているとし、米国が対ロシア制裁の緩和に動く期待感が強まったこと、など。

下旬: BRENT: 66.84 ⇒ 68.12 WTI: 63.21 ⇒ 64.01

上昇要因:ロシアの製油所や輸出関連のインフラに対するドローン攻撃、それに伴う火災発生などにより、生産・輸出への影響が懸念されたこと、ロシア産原油を大量に購入しているインドに対し、米国が追加で25%(合計50%)の関税措置を発動、世界のエネルギー供給フローに影響が生じる警戒感から原油の買いが強まったこと、など
下落要因:ウクライナ情勢の動向に注目が集まる中、米トランプ大統領は、和平実現について2週間以内に見通しが分かるとした上で「非常に重要な決断」を下す考えを示したこと、OPECプラス有志8カ国は10月の生産方針も増産を進めることで市場シェアを回復を目指すものと見られ、伴って需給の緩みを意識した売りが優勢となったこと、など。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $523 ⇒ $520

原油の値動きに連動した小幅な下落の動きとなった。堅調な中東フレート市況は引続き中東FOBの購入意欲を下げており、現物需給においても買手に対し売手の数が多く、需給の緩みがみられた。
ブタンに関しては8月CPの前月比大幅下落もあり、ナフサ価格対比LPGが割安となったことから石化原料用需要として韓国勢・中国勢から購買意欲が聞こえていた。

中旬: CP先物 $520 ⇒ $520

各中東サプライヤーの翌月(8月)積日アナウンスも前月に引続き特段の問題無く、供給不安材料もほとんど聞かれていなかったことから、先物価格は安定し、小幅な動きに留まっていた。
引続き売手の多い環境であったが、中国の一部PDHプラントがメンテナンスを終え操業再開となり、稼働率は約74%と過去1年間で最高水準に達したことでプロパン需要の伸長が期待された。

下旬: CP先物 $520 ⇒ $516

中東カーゴのメイン吸収先であるインドは在庫高が続いており需要は穏やか。一方で9月はパナマ混雑による米国品の極東デリバリー遅延が懸念されることからアジア向け需給動向は要注視の状況。
ブタンについては引続きナフサとの価格差が拡大していることから、石化需要の伸長により価格が下支えされCPのPB格差は縮まるマーケット感であったが、結果的に前月から変化無しでの発表となった。

9月CPについて

・8月31日(日)に発表された9月CPは、プロパン$520/トン(前月対比±$0)、ブタン$490/トン(前月対比±$0)。
・9月CP先物価格は、月間を通して$515~525/トンの間を推移しており、大きな変動は観測されなかった。原油価格も急激な変化がほとんど観測されなかった中、需給予測を大きく変化させる要因がほとんどなかったと言える。LPGのアジアマーケットは、インドの需要が強まらない中で供給は潤沢であることで先月に引続き供給過剰感が継続していたが、一方で中国PDHや石化原料の需要増への期待感があったことから、全体感としては上昇要因と下落要因の影響がつり合っていたと考えられる。
・6月にはイスラエル-イランの対立から中東情勢が悪化、マーケットも大きく反応を見せていたが、こちらは一旦安定しているものと見做され、マーケット変動に影響を及ぼしていない。
世界的にはウクライナ-ロシアの対立を巡る米国の動向に注目が集まっているが、現時点では(ことLPGにおいては)マーケットへの影響はさほど大きくないものと見られている。
・8月後半にかけて、9CP先物は前月比やや下落方向となる市況感であったが、結果的にはプロパン・ブタン共に前月同様の単価となった。先月後半に引続き石油化学原料としてのブタン需要増は続いており、PB価格差は小幅であっても縮小するのではとの見方もあったが、結果的に前月同様$30/MTの価格差を維持した。

今後のマーケットの見通し

・中東情勢は7月以降目立った動きは無く、しばらくは安定するとみる見方が大きい。中東LPG出荷も各国ともに懸念材料は聞かれず、出荷状況は(前年とは異なり)安定するものと見られる。
OPEC+有志国の減産緩和による原油随伴LPG出荷は、原油から得られるLPG(プロパン・ブタン)の得率は小さいものの量が非常に大きいことからやはり堅調と見られており、この要因のみで中東全体で前年比最大+150KT/月ほどとなるという試算も報告されている。
・インドでは足元在庫が積み重なっており、揚げ荷役待ちの滞船日数は8月以降長期化している状況であるが、10月の同国祝日で例年需要が増加傾向であることからも徐々に解消方向に向かうか。
また、中国PDH需要増の兆しや、ナフサ対比ブタン価格が優位である現況下における中国・韓国の石油化学用ブタンの需要増なども相まって、今後供給余剰は解消されていく見込みであり、加えて秋冬の季節要因需要増にも期待がかかり、CP及び極東着価格は次月以降徐々に上昇していくと予想される。
・フレートマーケットは高止まりしているが、こちらは米国在庫積上がりにより米国FOBが安価であることから、中東対比足延びするフレート代を支払っても米国品をインド・東南アジアに搬入する経済性が優れる計算となっていること、また、主にコンテナ船が事前予約枠に殺到していることが原因で、パナマ通峡タイミングが読みづらくオークション金額高騰を懸念し、喜望峰経由の航海を好む用船者がいることなどがフレート下支え要因として挙げられる。長距離航海が増えると必要隻数も増えることから、期先1-2か月という期間で考えると、フレートマーケットは下支えされやすい環境と考えられる。