CP価格

9月30日に10月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

10月CP
プロパン $ 495 /MT(前月比-$25)
ブタン  $ 475 /MT(前月比-$15)

アラビアンライト原油の9月1日~30日の平均価格は$73.210/BBLです。
尚、10月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで82.5%、ブタンで80.2%となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移

上旬: BRENT: 68.15 ⇒ 67.49 WTI: 65.59 ⇒ 63.67

上昇要因:OPECプラス有志国が追加増産を決めたが増産ペースが減速、事前にあった供給増加を警戒しての売りを買い戻す動きが現れたこと、米国がロシア産原油を輸入する中国とインドに「最大100%」の関税を課すようEUに求めたと報じられたことで、米欧が対ロシア制裁を強化するとの予測があったこと、カタール/ドーハにおいてイスラエルの攻撃があり、ハマスのメンバー5名が殺害されたことで中東における地政学リスクが瞬間的に高まったこと、など。
下落要因:米エネルギー情報局発表の週間在庫統計において、原油在庫が事前の取り崩し予想に反して積み増しとなったこと、OPECプラス有志国は今後も更なる増産を検討する見通しと報じられ、予定よりも前倒しで166万バレル/日の減産が縮小されることを意識した売りが入ったこと、など。

中旬: BRENT: 67.49 ⇒ 66.68 WTI: 63.67 ⇒ 62.68

上昇要因:米政府はG7にロシア産原油を購入する中国とインドに関税を課すよう要請。ロシア産原油の供給が停滞するとの予測が観測されたこと、EUがロシアに対し追加制裁案を発表、またロシア国内でもウクライナによる主要港や製油所へのドローン攻撃を受け減産の可能性浮上により、ロシア産原油の供給懸念が高まったこと、など。
下落要因:OPECプラス増産のほか、非OPECプラス産油国も供給を増やすとの予想から、需給が緩むことをの警戒した売りが入ったこと、米エネルギー情報局発表の週間在庫統計において、原油は取崩しとなったもののディスティレートが市場予想を大きく上回る積増しとなり、需要に陰りが広がり売りが先行したこと、など。

下旬: BRENT: 66.68 ⇒ 67.02 WTI: 62.68 ⇒ 62.37

上昇要因:ロシア南部の製油所でドローンの破片が設備に落下し火災が発生、関連する報道も含めてロシア産石油の供給混乱をめぐる警戒感が高まり買いが先行したこと、米エネルギー情報局発表の週間在庫統計において、原油・ガソリン・ディスティレートがそれぞれ市場予想以上の取崩しとなり需給引締まりとみられたこと、など。
下落要因:イラク政府と同国のクルド自治政府がトルコ経由での原油輸出再開に向け石油企業各社と合意、2023年から停止していた原油輸出が再開されるとみられること、など。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $534 ⇒ $552

10月はインド祝日「ディワリ」前にインド国内需要が増加する傾向にあり、9月CP価格発表後から10月先物CPに買いが集中、価格が下支えされた。
加えて、インド国営会社の購入テンダーが発表されるなど、10月以降のインド需要が堅調に推移するとの見方が広がり相場は上昇傾向となった。

中旬: CP先物 $552 ⇒ $542

各中東サプライヤーから10月積みカーゴの積み日・数量通知があるも、大きな遅延が数量変更は聞かれず供給・出荷にトラブルは無さそうであるという見立て。
中国PDHや台湾石化勢から非米国産カーゴの購入入札が発表されるなど中東産カーゴの需要は根強く有り、フレート相場も下落基調であることから、価格の下支えが続いた。

下旬: CP先物 $542 ⇒ $495

インド勢による需要は引き続き聞かれており、マーケットは継続してが下支えされされる中10月CP先物は大きな変動はなく$545前後となっていた。しかしながら、実際に発表された10月CPは発表前に約$539(プロパン)であったマーケットの10月CP先物価格と大きく乖離した。サウジアラムコとしては、極東向け持ち届け価格からフレートコストを引いた値を参考にし決めたとの説明。

10月CPについて

・9月30日(火)に発表された10月CPは、プロパン$495/トン(前月対比-$25)、ブタン$475/トン(前月対比-$15)。
・9月CP先物価格は、月間を通して$540~550/トン前後を推移しており、極端な変動は観測されなかった。原油価格も急激な変化がほとんど観測されない中、季節要因によって前月比ややプラスになるというのがマーケットの予想であった。しかしながら、実際には市場予測をと大きく乖離したCPの値付けとなった。
・2025年は4月に発表された米中間の関税問題の影響で中国が中東産LPGの買付を強化したことで例年に比べて中東品のバリューが相対的に上昇しており、このような状況下、中東依存度の高かったインドの輸入業者は、中東輸入玉でカバーしている需要の一部を米国品にシフトしていた。インドは輸入LPGの多くを年間ターム契約で調達すべく秋ごろにその大半を確定させるが、今年は例年の動きと異なり中東品に限定しない、(品質条件を満たせば)米国品も受け入れる方針の入札も発表。インド国営企業が米国の複数サプライヤーと来季に向けた面談を実施したことも報じられ、26年は中東⇒米国にどの程度の割合が実際にシフトされるのかに注目が集まっていた。
・こういった動きにより中東サプライヤーは、輸出品の目的地として地理的にも優位であり重要な顧客であったインド勢が米国へシフトする流れが強まり求心力低下を懸念していた。その中でのこの10月CP発表はマーケットへ大きなインパクトを与え混乱を招くも、インドをはじめとしたアジアのBuyerに対して、価格競争力をアピールする明確なメッセージとなった。
・尚サウジアラムコは、以降の値付け根拠は今回と同様に、(米国品を含む)極東向け持届け価格相場からフレートコストを引いた参考価格を値付けの最たる検討要素とするとしている。

今後のマーケットの見通し

・この度の10月CP発表は市場に大きな混乱をもたらし、期先の先物価格も大きく変動している。しかしながらこの1回のCP発表によってサウジアラムコの思惑通りインド勢が調達計画を元に戻すことは難しいとの見方がある。
・中東ターム交渉が終焉を迎える11月以降のCP設定に注目が集まる。サウジアラムコに市場で囁かれている通りの狙いがあるのであればCPは市況動向に沿った形で比較的安値で値付けされることとなるが、反対にターム契約交渉時のみの話なのであれば、再び高値で値付けされる可能性もあり、向こう数か月の設定方法に注目が集まる。
・また2026年は米中関税問題の行方が不透明であることや、世界経済の先行きに対する方向感も定まっていないことから、プラントの稼働率が読めない中国石化勢を中心にターム契約比率が低くなることが予想される。各社が安定したポートフォリオを持たずに、日々変動する環境下、スポット取引によって売買を重ねていくことで市況が不安定化する懸念もあり、CP価格がより読みづらい状況となる恐れがある。