CP価格

2月29日に3月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

3月CP
プロパン $ 630 /MT(前月比±$0 )
ブタン  $ 640 /MT(前月比±$0 )

アラビアンライト原油の2月1日~29日の平均価格は$82.367/BBLです。
尚、3月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで93.3%、ブタンで96.1% となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移


上旬: BRENT: $78.70 ⇒ $82.77 WTI: $73.82 ⇒ $77.87

上昇要因:①米兵の死亡を受けて米国による報復攻撃が開始され、中東情勢が悪化したこと②米国内石油生産予想を下方修正したこと③イスラム組織ハマスがガザでの戦闘休止案への回答を提示したもののイスラエル側が拒否したことなど。
下落要因:①米国の原油在庫が市場予想の3倍近い積み増しを記録したこと②イスラエルが戦闘休止案に合意したとの報道が流れ、地政学リスクが後退したことなど。

中旬: BRENT: $82.77 ⇒ $83.03 WTI: $77.87 ⇒ $77.91

上昇要因:①イスラエル軍がガザ地区で空爆を与える等、中東情勢をめぐる緊張感が一層に高まったこと②プーチン大統領がウクライナとの停戦に向けて米国に協力を仰いだものの、最終的に米国が拒否し、ウクライナ情勢悪化への警戒感が再発したこと③フーシ派による紅海での商船への攻撃が収束を見せず、供給混乱懸念が顕在していることなど。
下落要因:①週刊在庫統計で米国原油在庫は1,200万バレル増加し市場予想を大幅に上回る積み増しとなったこと②メンテナンスにより製油所稼働率が2022年12月以来の低水準を記録したこと③国際エネルギー機関(IEA)は2024年の世界原油需要見通しを当初より下方修正したことなど。

下旬: BRENT: $83.03 ⇒ $83.62 WTI: $77.91 ⇒ $78.26

上昇要因:①イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が収束を見せず、また、紅海周辺におけるフーシ派の商船への攻撃も収束をみせていないこと②OPEC+自主減産継続と北半球の季節的需要により欧州・中東では原油在庫が減少していること③米国製油所のメンテナンス期間が明け、原油の処理が加速するとの見方が相場を支えたことなど。
下落要因:①国際エネルギー機関(IEA)が中国からの需要が急激に鈍化していることを一因として、24年の原油需要の伸長を下方修正したこと②米国金融引き締め政策の長期化によるエネルギー需要の減速観測など。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $591 ⇒ $620

原油価格に引き摺られて、上昇。但し、フレート価格の低迷によりFOB購入に割安感が醸成されており、関心は高いものの、米国玉が堅調に極東へ流れ込んでおり、極東の需給が緩いことから、実際の購入に動くプレーヤーはいない模様。

中旬: CP先物 $620 ⇒ $617

横ばいの値動き。買い手はフレート上昇に伴ってFOB購入に消極姿勢であるという味方もあったものの、3月積み出しFOBに対する買い唱えが3CP対比プレミアム圏で取引されたことがCPの地合いを引き上げた。

下旬: CP先物 $617 ⇒ $624

原油価格に引き摺られて、上昇。週初めにインド輸入社より年間4カーゴの購入に係る応札が発表され、一時需給引き締まりの雰囲気が醸成されたものの、3月積み出しカーゴについてはフレート高の影響で買い手は消極的となっている。

3月CPについて

2月29日(木)に発表された3月CPは、プロパン$630/トン(前月対比±$0)、ブタン$640/トン(前月対比±$0)となった。
原油相場の上昇と3月末まで続くプラント定修によるカーゴ供給量減少傾向が加味され、事前予想を上回る価格での3CP発表となったと想定。3月は中東米国共にFOB輸出量が2月対比減少する見込みとなっている。ナフサ市況も一時期よりは落着きをみせているものの、1-2月に引き続きナフサ代替としてのブタンの需要増加傾向から需給が引き締まり、プロパン対比プレミアムでの評価となった。中国の旧正月明けはPDH稼働率も徐々に回復しており、3月以降に立ち上げが予定されているPDHプラント向けに新たに4-6カーゴの追加需要が見込まれていることから、季節的需要減退をある程度相殺することが想定されていることも予想対比高値での発表となった要因である。

今後のマーケットの見通し

2月の原油相場は、イスラエルが戦闘休止案に合意したとの報道が流れ、一時原油価格は下落したものの、イスラエルが休戦を否定したことから、再び上昇を見せ、価格は上下しながらも中東情勢の影響を受けて、1月よりも若干高い水準での値動きとなった。一方で、期先の原油価格予想としては、下落要因が目立っている。米国の高金利政策が緩和される見込みが立たないこと、中国・欧州をはじめとして世界的に景気減退予測があること、供給面では2月のOPEC産油量が1月対比増加し、直近の米国原油在庫も前週対比積み上がりとなり需給バランスが緩和傾向にあることが挙げられる。冬場の需要期も終焉にむかう中、地政学的な価格上昇要因がどこまで市況を底上げするかがポイントとなる。
2月のLPG相場は、米国輸出が堅調に推移したことに加え、パナマ通峡問題が若干改善したことにより、順調にカーゴが極東に流れ込み上値を抑えた。ブタンに関しても、ナフサ対比でブタン割安感が醸成されており、ナフサ代替用途としての需要が聞こえていたものの、米国品ブタンが極東に流れてきたことや、ブタン販売余力のあるプレ-ヤーの存在が確認できたことで下落傾向で推移した。今後のLPG相場については、3月以降に立ち上げが予定されているPDHプラント向けに新たに4-6カーゴの追加需要が見込まれており、PDH需要が季節的需要減退をある程度相殺することが想定される。一方で、中東・米国共に3月中に設備メンテナンス期間が終了し、3月以降も堅調な出荷量が予想され、極東からは強い購入意欲が聞こえないため、下落方向の値動きが想定される。また、米国-極東間マージンの悪化に伴い1月に大幅に下落したフレート市況は足元$60程度まで上昇しており、米国の季節的内需が落ち着き、堅調な米国からの出荷が想定できる。次回4月CPは3月31日(日)頃発表予定。