CP価格

3月31日に4月のARAMCO価格が発表されましたので次の通りご報告致します。

4月CP
プロパン $ 615 /MT(前月比-$15 )
ブタン  $ 620 /MT(前月比-$20 )

アラビアンライト原油の3月1日~31日の平均価格は$85.645/BBLです。
尚、4月CPのアラビアンライト原油熱量換算比は、プロパンで87.6%、ブタンで89.5% となっております。

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CP決定の背景

原油先物価格の推移


上旬: BRENT: $83.55 ⇒ $82.21 WTI: $79.97 ⇒ $77.93

上昇要因:①OPECプラスが24年4月~6月においても自主減産を実施することを検討しているという報があったこと②ラマダン期間中もイスラエルとハマスの交戦が続くとの見方から、休戦や人質解放に向けた交渉が難航していたことなど。
下落要因:①週間在庫統計で米国原油在庫は前週比420万バレル増加し、市場予想を上回る積み増しとなったこと②米国連邦準備理事会(FRB)は利下げを急がないという見方が強く、依然経済動向の不透明感が強いことなど。

中旬: BRENT: $82.21 ⇒ $85.78 WTI: $77.93 ⇒ $81.07

上昇要因:①ガザにおけるイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が継続し、中東各地での緊張が継続していること②2024年の世界経済成長率を従来予想から上方修正し、世界経済成長に楽観的な見方が広がったこと③EIAが今週発表した統計によると、米国原油在庫は前週比150万BBL減と、市場予想に反する取り崩しがあり、ガソリン在庫も市場予想を上回る取り崩し幅となったことなど。
下落要因:①EIAが2024年の米国原油生産高見通しを前年比で日量26万BBL増加とし、従来予想から上方修正したことなど。

下旬: BRENT: $85.78 ⇒ $86.52 WTI: $81.07 ⇒ $83.17

上昇要因:①OPEC最大の産油国であるサウジアラビアの原油輸出量が減少傾向にあり、またOPEC第二の産油規模を誇るイラクは1-2月に産油量の割り当てを超過した分、今後数か月に渡り輸出を減少させる方針を表明したこと②ロシアとウクライナが互いのエネルギー施設を標的としたミサイル・ドローン攻撃を実施するなど、ロシアとウクライナを廻る情勢が依然として改善しないことなど。
下落要因:①米エネルギー情報局(EIA)が発表した週報で米国原油在庫が320万BBL、ガソリン在庫が130万BBLの増加で予想外の積み増しにて発表されたこと②イスラエルとハマスの戦闘休止交渉で、米国務長官が仲介国カタールを訪問した上で、「両国の溝が埋まってきている」と発言し、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー供給不安が幾分和らいだことなど。

CP先物価格の推移

上旬: CP先物 $591 ⇒ $620

プロパンブタンともに上昇。月初に積極的な購入意欲を見せていたプレーヤーが購入を決めた後は季節的需要期の終了による需要減少と新規PDHからの需要が上下もみ合いながら推移。原油相場の上昇と軟化したフレート市況が中東FOB購入のハードルを下げ、FOB相場の下支え要因となった。

中旬: CP先物 $620 ⇒ $617

横ばいの値動き。原油は上昇を見せたものの、中東FOBマーケットは需給の緩和感が醸成されている。OPECが協調減産を継続するとみられているものの、LPG供給はタイトにはならないという市場の見立てからも4月積みFOBに関しては需給の緩みが垣間見えた。

下旬: CP先物 $617 ⇒ $628

原油相場の影響を強く受けて上昇。4月着カーゴに対して買い戻しを見据えるトレーダー勢が散見され、中国PDH数社からも購入意欲が聞こえていたことも上昇要因となった。原油のセンチメントに乗って上昇したままCP発表直前を迎えたことで高値となった。

4月CPについて

3月31日(日)に発表された4月CPは、プロパン$615/トン(前月対比-$15)、ブタン$620/トン(前月対比-$20)となった。
季節的需要の減退を受けてプロパンブタン共に前月対比若干の下落となったものの、原油相場上昇の追い風とOPECプラス減産による供給量減少が加味され、過去10年間で3番目に高い価格での発表となった。2~3月にかけて米国ブタンFOBが優位な経済性となり、米国からの出荷数が増加、また中東からも前月対比でブタン出荷数が増え、潤沢な供給からプロパン/ブタン格差が縮小したものの、上昇するナフサ市況の影響で、日韓勢による石化用途でのブタン需要増加傾向から需給の引き締まり感が継続していることから、プロパン対比プレミアムでの評価となった。OPECプラスの減産こそ継続されるものの、LPG生産量への影響は限定的であるという見方が強く、また、1-2月の中東からの出荷量が例年対比減少した反動から第二四半期以降は中東からの輸出量が緩やかに上昇する見通しである。

今後のマーケットの見通し

3月の原油相場は、月中を通してじりじりと値を上げ、2月より僅かに高い水準にて推移した。中国不動産市況の低迷・米国高金利の長期化による景気減速懸念の高まり等、経済・景気影響が下落要因として顕在しているものの、不安定な中東情勢・OPECプラスによる4-6月の減産延長等、地政学的観点と供給面の懸念から、上昇圧力が強まる局面が多く、底値を上げる展開となった。また、ロシア・ウクライナが互いのエネルギー施設をドローンやミサイルで攻撃しており、ロシア政府が自主減産に遵守すべく石油企業に対して生産を控えるように命じていることからも、世界第二位の石油輸出国であるロシアにおける状況も原油市場を圧迫している。更には、フーシ派による船舶への攻撃も落ち着きを見せず、喜望峰経由で航行する船舶向けに燃料需要も増加しており、これは地政学的リスクのみならず原油需要自体を上昇させる影響を持っている。
3月のLPG相場は、特に上旬から中旬にかけてPDHやトレーダーから極東での購入意欲が多数聞こえ、LPG相場が上昇した。下旬にかけては販売余地を抱えるプレーヤーが散見され、再び価格水準は落ち着きを見せる展開となった。2024年中の大幅な米国輸出能力拡大は予定されていないものの、米国LPG生産量は増加見通しであるため、季節的不需要期が始まることからも今後のMB価格は下落が予想される。中東においても期先数か月間は下落局面を想定しているものの、不安定な中東情勢の不安に煽られたセンチメントに反応しやすいマーケットとなることが考えられる。極東需要面について、注目ポイントはやはりPDH需要であり、プロピレンを含むオレフィン市況については、新規PDHや各種クラッカー、製油所等が限られた需要を奪い合う構図となり、また、PDHは中国政府からの補助金が他と比較して少額であるため、どこまで稼働率を上昇させプロパンの需要をつけられるかに今後の注目がかかる。また、トピックとしてインドからの需要が挙げられ、今月から投票が開始されるインドでの総選挙に向けて、支持率上昇を目指す候補者によってLPG輸入に係る補助金制度の継続がうたわれ、インド勢からの購入意欲が高まることが予想される。次回5月CPは4月30日(火)頃発表予定。